MUKU-DATA  栃瘤 製材(2023 8/4)

古い栃の瘤丸太を製材した。
聞けば30~40年ほど前に伐採されずっと保管してあったものらしい。
栃は製材後、板で天然乾燥をする際に樹皮と辺材の間は虫に食われる事はあっても
白太を含めた身の部分は虫にやられる事は意外と少ない材種かと思う。
しかし、瘤部分となると別で、今回のように長く保管された栃瘤は
虫食いになっている事が多い。
経験上、楡の瘤も同じように良い瘤なんだけど
残念ながら虫に食われている事が多い。
瘤周辺から虫が入り易いのだろう。。。
もしかして外敵から身を守る為に虫の手段なのかもしれない。

この虫の食われ方からするとかなり深くまで入っている事が想像できたので
挽いて取れる材にはそう期待はしていなかったが
今回製材しながら新たに思った事は、、、
30~40年も倉庫で保管された丸太であれば中も乾燥しているだろうと
思っていたが、意外に丸太の中は未だに少し湿った感じがした。
そして芯付近に近づくにつれて蒸けた感じで腐朽して材が弱くなっていた。
木は乾燥できる環境にあれば腐らない。
この丸太を観察する限り、
丸太の中の水分は30年経過しても抜けきれず残り
それらが木を腐朽させスポルテッド模様まで描かせている。
= 今回は瘤丸太という少し特殊なものだったが
もしかして丸太の状態で長く保管していると中の水分は抜けきらずに
水分が残った芯の方から丸太を腐らせていくのかもしれないと思った。

なんせ、30年、40年と寝かせた丸太を挽くという機会もそうそうないので・・
これは早い段階で栃瘤の板挽きをした後に天然乾燥を行っていれば
これほど身を傷める事もなかったのかもしれないと思う。

板挽きされた栃瘤は傷みはあるし虫にも多くやられてはいるが
これはこれで面白い板が挽けたかと思う。